むくみとリンパ浮腫について

リンパ浮腫とは?

リンパ浮腫 とは、リンパ液の流れが滞ることで生じる体のむくみのことです。
リンパ浮腫の原因は、大きく分けて2つあります。
一つは生まれつきリンパ系の機能障害による「原発性リンパ浮腫」、もう一つはがん治療による発症する「続発性リンパ浮腫」です。

リンパ浮腫を引き起こすがん治療には、手術とリンパ節郭清、抗がん剤、放射線療法があります。
いずれも、治療による刺激でリンパ管が障害され、リンパ液の滞りが生じてリンパ浮腫発症につながります。

リンパ浮腫は、ひとたび発症すると治癒は難しく、時間の経過とともに悪化していく病気です。
ですが、毎日のケアを根気強く行うことで、症状の悪化を防ぐことはできます。

むくみとは?

むくみ(浮腫)とは、血液中の体液が血管外に漏出するなどして、皮下組織に水分が過剰に溜まる状態を指します。むくみは大きく分けて、全身性と局所性に分けられます。

全身性のむくみは、心臓病、腎臓病、肝臓病などの疾患によって引き起こされます。また、妊娠や生理周期、更年期などのホルモンバランスの変動が原因で生じる場合もあります。

局所性のむくみは、リンパ管や静脈の流れに障害が生じた時に発生します。リンパ浮腫や、静脈性浮腫、炎症による浮腫などがその例です。長時間立ち仕事をした後の足のむくみなど、生活習慣によって生じる場合もあります。

程度の差はあれ、「むくみ」は誰にでも生じる可能性があると言えます。

リンパ浮腫の方に行う
マッサージ

リンパ浮腫に対して行うマッサージは、「医療徒手リンパドレナージ(MLD)」と呼ばれます。これはリンパの流れを改善するための専門的なマッサージ技法です。

医療徒手リンパドレナージは、複合的理学療法の一環として、スキンケア、圧迫療法、運動療法などと併用されます。MLDは、滞ったリンパ液を健常なリンパ節に誘導する目的で行われます。この手技は非常にソフトで、皮膚下にある浅いリンパ管にアプローチするため、優しいタッチが求められます。

この技術を実施できるのは、医師や看護師、理学療法士、作業療法士など、一定の資格と経験を持つ専門職に限られます。また、リンパ浮腫に関する研修を受け、資格試験に合格した者のみがこの技術を提供できます。したがって、美容目的のリンパマッサージとは大きく異なる治療法であり、医療行為に基づいた技術です。

施術内容

1

初回カウンセリング

まずは診療情報提供書をもとに、患者様の現在の状態について詳しく伺います。
リンパ浮腫の状態や日常生活での不便さ、気になっていることなどをじっくりお聞きし、最適なケア方法を提案します。
むくみの部位、症状の進行度、生活習慣などを総合的に判断し、施術計画を立てます。

カウンセリング
2

計測

リンパ浮腫の影響を客観的に把握するために、むくみの部位の計測を行います。腕や脚の周囲長を測定し、左右のバランスや腫れの程度を確認します。
定期的に計測を行うことで、施術後の効果を可視化し、治療方針の調整に役立てます。

計測
3

バイタルサイン測定

施術前に体温、血圧、経皮的酸素飽和度(SpO2)などのバイタルサインを測定します。
リンパ浮腫の施術は全身の血流やリンパの流れに影響を与えるため、安全性を確保するために事前の健康チェックを行います。

バイタルサイン測定
4

複合的治療

リンパ浮腫の状態に合わせた複合的治療を行います。
中心となる「医療徒手リンパドレナージ(MLD)」に加え、圧迫療法運動療法空気圧迫装置を組み合わせることで、患者様にとって最適なケアをご提供します。

医療徒手
リンパドレナージ
(MLD)

やさしい手技でリンパ液を健康なリンパ節へと誘導します。
痛みがないよう配慮しながら、リラックスして受けられる施術です。

医療徒手リンパドレナージ

圧迫療法

弾性包帯や弾性着衣で適切な圧迫を加え、リンパの流れを促します。
むくみの軽減だけでなく、炎症や線維化の予防にもつながります。

圧迫療法

圧迫下での運動療法

弾性着衣や包帯を装着した状態で、ストレッチやウォーキングを行います。
圧迫と運動の相乗効果により、リンパの流れをさらに促進します。

圧迫下での運動療法

間欠的空気圧迫

専用の機器を使用して、空気圧により断続的に圧迫と開放を繰り返します。
他の療法と組み合わせることで、さらなる効果が期待できます。

間欠的空気圧迫装置